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第21日 丸子〜岡部〜藤枝 

                 宿間の距離  7.8+6.7km   1998.07.11
                 歩いた距離    19.0km      

 静岡まで列車でいき、藤枝行きのバスで宇津ノ谷峠までいく。

 「宇津ノ谷の東海道は戦国時代末期に開かれたといい、それ以前は在原業平の東下りで
知られる蔦(つた)の細道」が主街道であった。

 国道1号の道路と新しいトンネルが工事中である。

 左には蔵造りの大きな家があり、その横が古い「蔦の細道」への入り口であるが、
私たちは右の江戸時代の官道をいく。
 古い家並みがあり、軒下に「十団子」がぶら下がっている。

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 その先丸子川を渡り、細い坂道の旧東海道の家並みにはいる。
 一軒一軒に当時を再現した看板が出ている。御羽織屋。
ここは秀吉から拝領した羽織があるので、その名がついたという。
 他に伊勢屋、車屋。
 どの家の軒下にも植木鉢が置かれ、草花が植えられている。

 家並みが途切れ急な石の階段を上ると、山道にはいる。

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 馬頭観音が2体あるが、案内板が傾いていて寂しい。

 道を登った山の中に峠の地蔵堂跡があり、
これは河竹黙阿弥の「蔦紅葉宇都谷峠」の文弥殺しの舞台であると
説明されている。

 そこに、許六の「十団子も小粒になりぬ 秋の風」という句が
書かれた白いペンキ塗りの杭が倒れ、朽ちかけていた。

 竹や木々が鬱蒼と繁る道を下ると、落葉樹の木漏れ日が美しい。
明治の旧トンネルへの道があるが、そこを通り過ぎ坂下へ下る。

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 川のまわりを整備して自然公園にした「蔦の細道公園」
がある。ここで「蔦の細道」と東海道が合流する。
 公園内には宇津ノ谷峠を詠んだ藤原俊成や鴨長明などの
和歌九首が木の板に刻まれてあった。
 ここが広重や江漢の「岡部 宇津之山」の絵が描かれた
所であるらしい。

 持ってきたおにぎりで昼食。

 少しいくと古いだけの坂下の延命地蔵堂。その横に「羅径記」の碑があった。
羅径とは細い道の意味で「古道を忘れまいがために駿府代官の羽倉簡堂が建てた」もので
ある。そこに石の地蔵様が何体かいた。

 岡部の宿にはいる。

 街道の右、階段上に十石坂観音堂がある。石灯籠が立派で、お堂の稲妻形の柵の中に、
はげてはいるが極彩色の厨子が2基あった。

 西行座像が保管されているという尊称寺の山門脇の小屋に多くの石仏があって、
その上に手まりがたくさんぶら下げて飾ってある。

 道の角に本陣跡の石碑がある屋敷の前をいくと、「東海道岡部宿」と書かれた看板が
出ている大きな屋根の家があった。ここは現在工事中で宿の資料館にでもするのか。

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 醤油醸造の家や造り酒屋がある。
格子のある古い家並みがあり、道が曲がっている所では
道に沿って家も折れ曲がっている。

 旧道の小さな川に架かる橋には「小野小町姿見橋」との
手書きの看板がある。

 鬱蒼とした急な階段の上に佐護神社という小さな神社がある。

 家の軒下に非常板とかかれた丸い鉄板がぶら下がっている。
小さな鉄の小槌が一緒にぶら下がっているので非常の時にたたくものであることがわかる。

 「糀みそ」の看板がある米穀販売店がある。

 広い道に出ると岡部町役場。

 スーパーの敷地の一角に五智如来像がある。
「田中城主であった内藤紀伊守に口が不自由なお姫様がいた。
岡部宿の誓願寺の五智如来に願を掛けたところ直った」という。
五智如来とは、釈迦、阿しゅく、阿弥陀、大日、宝生のことである。

 松並木がまばらな新道とわかれ、旧道をいく。

 道には「油海道」、「御陣屋」、「小字名持田」とかの案内杭がある。

 横内開村400年記念の碑や、橋場町地蔵尊(川除地蔵)の小祠があり、
壁にもたれている48番目の一里塚の杭がある。
このあたりの街道全体は表情がなく、黙々と歩く。

 葉梨川を八幡橋で渡りなおいくと、青山八幡宮の大きな鳥居があったが、
本殿は山の上にあるので、登り口の里宮で礼拝した。

 大きな楠が茂っている須賀神社。

 その隣りに鐙ヶ渕(あぶみがふち)と観音堂がある。 ここは「葉梨川の渕でその形が
馬の馬具の鐙に似ていたので古来より鐙ヶ渕と呼ばれていた」。
「昔渕のかたわらに柳の木があり、木に触れた者は浄土往生の志を覚え渕に身を投げた
という。人々はこれを『人取り柳』と恐れたが、後に聖僧により切り取られ観音像として
鐙堂のご本尊とした」という。そこに三体の双体道祖神があった。

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 成田山不動尊に着く。
「建長年間(1249-)後嵯峨上皇の子宗尊親王が六代将軍となるため
鎌倉に下る途中、御所車の左輪が破損しその修理のためこの地で
休息された」ので、左車山(さぐるまさん)休息寺という。

境内に左車神社があり、
当山開基一百年記念の昭和48年(1973)の「しょうわ」狛犬がいた。

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 そのあたりから古い瓦葺きで白壁の店が並ぶ商店街。
仏壇仏具の店、「左官鏝一式」の木の看板の金具店、古くからの陶器店。

 藤枝宿の案内板がある。

 次の商店街のアーケードには、「宿場楽市」と書かれた幟が出ている。

 古民具・古美術の看板が出ている看板建築の店もある。

 瀬戸川を勝草橋で渡る。

 青木交差点の所で街道を離れ藤枝駅に着き、乗車して帰宅。

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