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第20日 府中〜丸子    
                 (宇津ノ谷峠)
                     宿間の距離   5.6km    1998.05.23
                     歩いた距離   15.6km 

 朝6時頃家をでて、藤沢から鈍行を乗り継いで、静岡駅に10時前に着く。

 呉服町通りは前回通っているので、一本西の紺屋町通りをいく。

 緑が多い浮月楼という料亭の前に、ここが大政奉還後に静岡で徳川慶喜が隠棲した
場所であるとの碑があった。

 市役所にぶつかる青葉通りは中央がグリーンベルトで、今日はフリーマーケットで
大にぎわい。

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 駿府三鎮守の一つである別雷(いかづち)神社がある。

 昭和13年(1938)の「唐草しょうわ」狛犬の台座の三方に
二つ葉葵(あおい)のレリーフがある。
社殿の中の神輿は漆塗りで螺鈿が施されていて、大変豪華。

 この先右に折れ、人宿(ひとやど)町通りをいく。木賃宿が多い旅籠町として栄えた通り
である。道角に木造の派手な看板の千寿本店があり、一昔前の飲み屋の雰囲気。

 少しいくと「梅屋町」の案内板がある。
かつて由比正雪が立てこもって自刃した梅屋旅館があったのでこの名がついたという。

tokaido20-2.JPG tokaido20-3.JPG  その先の所々に、「祝い鯛」「駿河凧」
などの写真を焼きつけた陶器の案内板がある。
「駿河張子、張子面、祝い凧」の看板がでている
「沢屋だるま店」があった。昔からの職人の
作業場の雰囲気である。

 その手前を左に折れ新通りをいく。

 わさび漬けの元祖田尻屋本店がある。

 新通りを進み、安倍川の前で本通りと合流する三角地の一角が公園になっていて、
弥勒町の説明板がある。「江戸時代のはじめ慶長年間(1596−)に弥勒院という山伏が
還俗して安倍川の河原で餅を売るようになった。この餅を安倍川餅という。
これが弥勒町の町名の由来となった」と記されている。

 そこに「安倍川の川会所跡」の説明板がある。
「川越人夫が人や荷物を渡すのを監督するところが川会所である」。

 「由比正雪公之墓」がある。

 公園の前の和菓子屋で安倍川餅を買おうとしたが売っていないので、
柏餅を買い公園で食べる。その先に安倍川餅で有名な石部屋(せきべや)があった。
店内には緋もうせんの縁台があり、茶を飲みながら食べている客がいた。残念。

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 安倍川を渡る。

 ここは徒渡しの川であったが、明治7年(1874)宮崎総五が橋を
架け、その後通行形態が変わったという。

 広々とした河原である。
 橋の上から西を見て、広重の「府中 安倍川」の絵の渡しは
山並みからこの辺かと探してみるが、はっきりしない。

 川を渡ると手越(てごし)。
緩やかな下り坂で、軒が低い瓦屋根でがっちりした家並みがある。 
左に高林寺という大きな寺院があり、その入り口に「官許 元祖手越名灸所」の碑がある。

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 手越原で国道1号に合流してすぐ、佐渡(さわたり)という所で
左に曲がり旧道をいく。
 「子授け地蔵」堂があり、多くのお地蔵様が整然と祭ってあった。

 地蔵堂の向かいに万葉歌碑がある。「左和多里能 手児尓 
伊由伎安比 安可故麻我 安我伎乎 波夜義 許等登波受伎奴
(佐渡の手児に い行き逢い赤駒が あがきを速み 言問はず来ぬ)」 

 丸子交番で丸子宿の案内図をもらう。

 「一りづか」の碑がぽつんと立っている。

 道に面して古い造りの町屋があるが、中二階の家が多い。なまこ壁の酒屋。
 丸子宿本陣跡の碑。

tokaido20-6.JPG  玄関の軒下に、神社のお札を入れる木の箱がついている家がある。
その箱の上にツバメが巣を作り、こどもが大きな口を開けて
餌を求めている。
 その横に、小さな団子を十個づつ九連の数珠の形に束ねたものが
飾ってある。これは宇津ノ谷峠の慶龍寺で8月の地蔵盆の日に
売られる名物の「十団子(とおだんご)」である。

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 とろろ汁で有名な丁字屋がある。
藁葺き屋根で落ち着いた造りの家。広重の「鞠子 名物茶店」
の絵の構図と照らし合わせると裏の山と遠い山並みがぴったり。

 入り口の前庭に膝栗毛の中の「けんくわする夫婦は
口をとがらして 鳶とろろにすべりこそすれ」の碑がある。
 芭蕉の「梅わかな 丸子の宿のとろろ汁」の句碑がある
ということだが見なかった。

 丁字屋は入口はこじんまりとしているが、奥に広く
大変込み合っていた。

 むぎとろ飯とむかごの揚げ物、「丁字屋」という酒で昼食。

tokaido20-8.JPG tokaido20-9.JPG  国道1号から山の方に数百mはいり、
吐月峰柴屋(さいおく)寺へいく。
 永正年間(1504−)連歌師の宗長が草庵を
結び余生をおくった所。たしかに「寺と
茶室を折衷したような家」である。
 本堂正面南に丸子富士、西方には天柱山、
東に見事な竹林と吐月峰。風通しの良い
座敷に座っていると落ち着いてくる。

 丁字屋の所までもどり、旧道の丸子橋を渡る。

 二軒屋では誓願寺までいく時間はないので、宇津ノ谷を目指す。

 舟川沿いの山の道に迷い込んでしまった。八幡宮があり、昭和16年(1941)の
「唐草しょうわ」の狛犬が傾いて置かれてある。 

 野良仕事をしている人に聞き、道を間違ったことがわかり、旧道にもどる。

 日本の紅茶発祥の地と看板に書いてある「丸子紅茶」がある。大きな農家で予約がないと
入れないとか。

 新道にでる所に長源寺と起木神社がある。

 そこから宇津ノ谷トンネルまでの約2kmは道の拡幅工事で、ほこりっぽい。

 ようやく宇津ノ谷入口のバス停にたどり着き、新静岡行きのバスでもどる。

 静岡駅から4時すぎの鈍行に乗り、帰宅。

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