広重の「神奈川 台之景」に描かれたさくら屋という茶屋があった所に、料亭田中屋が
ある。絵の中の海は現在は埋め立てられて道やビルになっている。
十辺舎一九も「たどりいくほどに金川の台に来る。ここは片側に茶店軒を並べ、いずれも座
敷二階造り、欄干つきの廊下、桟などを渡して、浪うちぎはの景色いたって良し」と書いてい
る。
台町の緩やかな坂を下ると軽井沢で、ここまでが神奈川の宿。
さらにいくと小高い山の上に浅間神社がある。この神社は頼朝にゆかりの神社で、江戸名所
図絵に人穴ありと書かれているが、これは横穴古墳のことで、埋め立てられて今はない。慶応
2年(1866)の「江戸」狛犬。足下に子狛がじゃれていてかわいらしい。神主の説明によれば、
これは戦災にあったものを戻したといい、確かに狛犬全体が焼けただれているようだ。
奥の一角にからす天狗が守っている小さな祠がある。映画「姿三四郎」のロケ地という。 |